東京地方裁判所 昭和46年(特わ)74号 判決 1971年4月21日
主文
被告人株式会社上村電化を罰金五〇、〇〇〇円に
被告人上村光男を懲役六月に
各処する。
但し被告人上村光男に対しこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
訴訟費用は被告人株式会社上村電化と被告人上村光男の連帯負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社上村電化は、東京都墨田区立花三丁目一〇番一一号に工場を設け、鋲螺子の鍍金及び電気亜鉛メッキ業を営み上村清司は同社の代表取締役をしているもの、被告人上村光男は右会社の事実上の経営者として同社の業務全般を統括しているものであるが、右電気メッキ作業過程において作出される無機シアン化合物たる毒物を含有する廃水を廃棄するにさいしては、中和、加水分解、酸化、還元、稀釈その他の方法により、廃水中のシアン含有量を一リットルにつき二ミリグラム以下にしなければならないのに、被告人上村光男は、前記会社の業務に関し、別表記載のとおり、昭和四五年三月一一日ころから同年一二月七日ころまでの間四回にわたり、前同所において、シアン含有量が一リットルにつき二ミリグラムを超える廃水を同工場外の下水を経て墨田区公共溝渠内に放流して廃棄したものである。
(証拠の標目)≪省略≫
(法令の適用)
判示所為につき
包括して毒物及び劇物取締法第一五条の二、第一一条第二項、同法施行令第三八条第一項、第四〇条第一号、同法第二四条第五号。
なお株式会社上村電化につき同法第二六条。
被告人上村光男に対する刑の執行猶予につき
刑法第二五条第一項。
訴訟費用の点につき
刑事訴訟法第一八一条第一項本文、第一八二条。
(裁判官 中野武男)
<以下省略>